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セルフヌード
第8章 *最終章*セルフヌード
「私が間違ってた。自分のこと、ちゃんと愛してないのに他人に求めてばかりいたのは、私だった」
「そんな──…」
「美優だって、総子さんだっていたのにね。広栄さんだって、あの男より私の方が大事だったって……たくさんの人達がいてくれたのに。いつまでも感傷に浸って、ひとりよがりなことしてた。何で私なんか庇ったのって、総子さんのこと、意味不明だった。もし目覚められなかったとしても、私なら勝手に気付くって……そこまで信じてくれてた総子さんの気持ち、……だけど、あの一晩は効いた。美優に一生あんな思いさせようとしてたんだって思うと、……」
「──……」
「成功率は五分五分だって言われてたんだ。外の傷減らして、手術はそれからだったから、……美優に連絡して帰ってこられなかったら、連絡した意味なくなるし」
「だからって……尚更……」
「やっと帰ってきたら、家はなくなってるし、洋服は全部捨てられたなんて酷くない?人生初の極貧生活。……二年のブランクで腕まで鈍って。なるべく人目を避けながら、地味ーに仕事入れまくって、……」
「…………」
「写真集、ああいうかたちで出させてもらったのも、だから。情けなかったんだ、美優に会う時は──」
…──ちゃんとした私に戻ってたかった。
計算高いメゾの声が、摯実に美優を顫わせる。
これだから美人はいけすかない。反省している態度をとって、少し愛念をちらつかせれば、相応の効果が導けるのだと自負しているのだ。