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食べてしまいたい
第5章 真実は嘘
「一回、休め」
そう言われ、静かに席に戻った。
苦しいのか、なんなのか、もうわけがわからなくなっていたあたしは深呼吸さえままならなかった。
「…先輩」
「…玲ちゃん」
「先輩は一体何なんですか」
突然の逆ギレ。
混乱している頭の中にかなりの鋭い刺激を受けた。
「…どういうこと?」
「私…先輩には簡単に渡す気なんてありませんから」
渡す?
「だから…どういうっ」
「私っ…北原さんと付き合ってます」
かすかに震え上がった声が、あたしの耳に届いた。
唖然だった。
「今回は…本気で愛したいんです。だから…先輩には悪いって思ってるんですけど…もうやめてほしいんです」
「…やめてほしいって…」
複雑な思いの裏腹、不思議だった。
きしむような痛みは…なかった。