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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 そこで口ごもり、承平はいきなり薫子を抱き上げた。今度は慌てるのは薫子の方だ。
「承平さんっ、何をしてるの、こんな人混みで恥ずかしいから」
「いや、悪いのはそなただ。俺に隠し事をするのは許さない」
「何よ、自分は願い事を教えてくれなかった癖に」
「それはだな」
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