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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
「どうかこの先行き短い祖父を安心させて下さりませ。祖父の眼の黒い中に栄子を妃にお迎え下さり孫の顔を見せて頂けませぬか。栄子も最早、二十九になりまする。このまま、いずこにも嫁さずに朽ち果てるはあまりに哀れ、あれの身も父として心配でなりませぬ」
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