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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
 帝は絶句した。なるほど、そういうことかと漸く合点がいった。栄子は祖父の二人しかおらぬ娘たちの中の末娘であり、かれこれ十数年前、帝が元服した当初から后としての最有力候補であった。当時は十六歳であった栄子もはや二十九、早婚の今ははや嫁き遅れどころか、既に嫁ぐ歳ではない。
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