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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 整いすぎるほど整った顔、私はこの男の貌を忘れない―。心に、記憶に刻み込むように、大好きな男の貌を灼きつける。
「薫子とずっと一緒にいたい。俺は俺は」
 だが、薫子は彼に皆まで言わせなかった。
「お願いだから、これ以上、困らせないで」
 身体に遠慮がちに触れた彼の手が先刻以上に大きく震えた。
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