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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第12章 誤解の始まり
 実の父娘とて、御簾越しの儀礼的な対面の必要もない。
「おいでなさいませ、殿」
 向かい合う二人の前に、薫子付きの筆頭女房近江が白湯と干菓子を運んできた。
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