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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
 朝には咲いて夕刻には萎む一日花であることから、その生命の儚さを仏教の無常観になぞらえられることも多い。
 数本の樹が並び、無数の酔芙蓉の花が今、まさに咲き誇っている様は圧巻だ。薫子の母佐奈が愛した酔芙蓉の花、芙蓉の花のように儚い佳人だったという母はまた当代随一の歌人でもあった。
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