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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
 娘たちは小さな手に一杯の月見草を継母に贈った。継母はそれぞれの娘に向かって笑顔で
―嬉しいわ。優しい姫たちに囲まれて、母は果報者です。
 涙ぐんでさえいた。
 だが。その少しく後、薫子が自室に戻ろうとしていたときのこと、継母が信頼する年嵩の女房に話していたのを聞いてしまった。
―このようなもの、汚らわしい。
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