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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第14章 満月の初夜
―入内する前に、もう一度、琵琶湖に行ってみたい。そのときは薫子も一緒よ。
―帝はとてもお美しい方だと聞いているわ。早くお逢いしたい。
 本来なら、今、薫子が手にしている幸せは姉のものだったに違いない。何故なら、当初は側室の娘ではなく正室の娘である姉奏子が帝の許に入内するはずだったのだから。
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