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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
「三郎、姫君をお願いね。必ず内裏まで無事にお見送りして」
「畏まりました」
 薫子はきらびやかな五ツ衣から栄子の持参した質素な小袖に着替えた。人相が判らないように市女笠をすっぽりと被る。三郎は薫子の良人という体を装い、内裏までを共にゆくことになった。
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