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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第15章 攫われた姫君
「それでは私はここで失礼します」
 栄子が再度、頭を垂れ、薫子も黙礼した。三郎に案内されて廊下を幾重にも折れ、そこから庭に降り裏口から路地に出た。数歩あるいて振り返った時、廊下には小さく人影が見え、それが栄子であることはすぐに判った。
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