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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
「姉上、ご無沙汰を致しておりました」
「―薫子、なの?」
「はいっ、姉上、薫子がただ今、戻って参りました」
 まるで幼い童のような物言いに、姉がうっすらと笑む。継母によく似ている姉はけして美人という類ではないけれど、決定的に違うのは薫子に向けるその笑顔が心からのものだということだ。
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