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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
「姉上」
 薫子はうなだれた。頬に押し当てた姉の手のひらにポトリと涙の雫が落ちた。姉がハッとしたような表情になった。
「やはり、何かあったのね。気丈な薫子が泣くまで追い詰めるなんて、幾らお母さまでもやり過ぎだわ」
 姉の白い顔が興奮で紅潮するのを見、薫子は狼狽した。
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