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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第3章 噂の姫君
「さりながら、その男はどうやら私には手の届かぬ人のようなのです」
「それはどういうこと?」
「言葉通りです。恐らく高位の公卿の子息ではないかと」
「では、お忍びで町に出ていたのかしら」
「多分、そうなのでしょう。最後まで身分を明かしませんでしたし、私も訊こうとはしませんでしたから」
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