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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 どれほど待ったのだろうか。衣擦れの音がして、渡殿が俄にざわついた。複数の脚音、次いで御帳台に誰かが入る気配が伝わってきた。
「主上のおなりでございます」
 蔵人の甲高い声を合図に、薫子は両手をつかえ頭を床にこすりつけた。ほどなく人払いを命じられたらしい。蔵人や控えていた女官たちが静かに下がっていった。
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