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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 薫子は承平の胸に甘えるように頬を押し当てて涙ぐんだ。躊躇いがちに伸ばされた承平の手がしっかりと薫子の背中に回され、強く抱きしめられた。
「そんなに俺のことを?」
 承平の声は嬉しげだ。薫子は恥じらうように頬を染め、頷いた。
 けれど―、おかしい、何かが違うと心の中で警鐘が鳴っていた。
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