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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
「あなたは誰?」
 ひと刹那の後、薫子は承平だと信じていた男の胸から顔を放し、相手の顔を見上げた。そこにいたのは紛れもない承平の顔をしていた男であったが、纏っているのは見慣れた庶民のものではなく、きらびやかな帝の衣装であった。無造作に結っていた髪は今や一部の乱れもなく烏帽子までつけている。
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