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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 願わくば、本当に嘘であって欲しい。一縷の望みを賭けて訊ねた。
「承平さんが主上だったなんて、そんなことは嘘よね?」
 承平が苦い薬を無理に飲み下したような表情になった。
「ごめん、騙すつもりはなかったんだ」
「そんな」
 薫子の胸に絶望という名のどす黒い感情がひろがる。
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