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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
「―あなたは誰なの?」
 悲鳴のような声で叫び、薫子は後ずさった。
 承平だと思っていた男の顔から笑みが消えた。
「俺だよ、薫子、承平だ」
「嘘、嘘だわ。承平さんがこんなところにいるはずがない。絶対に嘘」
 承平さんが帝だったなんて、そんなことがあるわけない。薫子の眼に涙が溢れた。
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