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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 薫子は彼の手の拘束が緩んだのを見計らい逃れるのに成功した。
「待て、待たぬか!」
 承平が血走った形相で追いかけてきたが、彼が薫子を捕らえるのより室の戸が開く方が少し早かった。
「主上、ご無礼仕ります」
 橘諸綱が入ってきた。折しも逃げてきた薫子と諸綱が遭遇することになった。
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