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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第5章 真実と恋心
 とにかく今宵の彼が凪いだ春風のようであることに安堵できた。けれど、やはり違和感がある。〝承平〟はどちらかといえば、いつも憎まれ口を叩いていたし、無闇に女に思わせぶりな科白を吐く男ではいはずだ。
 一体、どちらの彼が真実なのだろう。
「ああ、何なりと訊ねるが良かろう。我らはいずれは妹背となるのだから、隠し事は良くない」
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