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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第7章 胸騒ぎの予感
 長男以下、息子は四人いて、皆、正室腹だ。しかし、どの息子にせよ、諸綱に太刀打ちできるほどの器ではないのが余計に業腹だ。
「それでは、関白どの」
 諸綱に促されるように、通嗣は懐から書状を取り出した。清涼殿に射かけられた矢文である。一つ咳払いし読み始めると、諸綱の表情も俄に引き締まった。
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