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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第7章 胸騒ぎの予感
「今日より十日以内の中に、賢所(かしこどころ)に保管されている勾玉を取りに参上仕る。
                 髭切」
 しばらく誰からも声はなかった。諸綱ですら、面を強ばらせていた。たかだか一介の盗賊がここまで諸綱に影響力を与えるのに、この自分は侮られている―、そう思っただけで、また腸(はらわた)が煮えくり返りそうになる。
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