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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「何がおかしい? 俺の身辺は皆、そういう奴等ばかりなんだよ。じじい、母親、たくさんの伯父たちや従兄弟、皆、血族に囲まれて俺は物心つかない中から、その血という見えない鎖でかんじがらめにされ身動きもできない。何かしたくても言いたくても、母に泣かれると俺は何も言えなくなる。じじいにもだ! 俺に言うことを聞かせようするときに限って、あいつらは〝血〟を持ちだしてくる」
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