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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 険悪さを増す男に見かねて、隣の小間物屋が立ち上がった。その時、小間物屋の肩を軽く叩いた者がいた。大柄な男で、薫子に詰め寄っている男に比べると、頭二つ分ほども上背がある。筋骨隆々として見るからに肉体労働でもしているのだろうと思わせる見事な体軀だ。
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