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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
「あんたが出ていっても、かえって怪我をするだけだ。ここはおいらに任せてくれ」
 大男は穏やかな声音で言うと、まるで百年前からの知己に出くわしたかのように気安く声をかけた。
「智次(ともじ)じゃねえかよ。こんなところで顔を合わせるたア、奇遇だな」
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