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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 少し照れくさそうに言うのが微笑ましく、薫子は首を振った。
「全然、そんなことはないです」
「あの、これ」
 眼の前に差し出されたのは、小さな紫色の実の付いた枝だった。
「これは何ですか?」
「あ、の、野葡萄」
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