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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
「野ブドウ? 葡萄なの?」
「うん、俺が育った寺の境内に植わっててさ、丁度今の時期に実りの季節を迎えてるんだ」
「良かったら」
「ありがとう」
 小平太が差し出した枝を受け取り、薫子はふと思いついた。
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