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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「はっけよい、のこったのこった」
 相撲が始まった。承平も青龍に倣って、片肌脱いでいる。着物の上から見ると線の細い―青龍の言うように優男なのに、半裸になった彼の体軀は小麦色に灼けた均整の取れた見事なものだ。到底、軟弱な若者が多い公卿の公達とは思えない。平素から武芸の鍛錬を欠かさなければ、これだけの体軀は維持できないだろう。
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