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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「毎度ありがとうございました」
 ほくほく顔の主人に見送られ、二人はまた市の賑わいに紛れて歩き出した。
「これ」
 無造作に差し出されたのは、先刻の短刀と引き替えた簪であった。酔芙蓉の花を象った飾りが一つ付いている。
「綺麗ねえ」
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