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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
 薫子もやはり年頃の娘である。あまり装飾品を欲しいとは思わない質ではあるが、興味は持っている。
「そなたにやる」
「これを私に?」
 承平がコクコクと頷いた。ふと見れば、彼が珍しく真っ赤に頬を上気させている。
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