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俺の隣にいればいい
第2章 隣人、侵入。

ドンッ、ドンッ!!
ヘッドフォンをしていても聞こえてきた
壁を叩く音。
門倉は壁を見つめながらヘッドフォンをずらすと何やら言い争う声が聞こえてくる。
かん高い声で怒鳴るのは宍戸だろう。そうとう怒っている感じだ。八代は一言二言、言い返しては黙っているの繰り返しだった。
少しづつ心配になってきた門倉の手はいつの間にか作業を止めてしまうぐらい、ハラハラしていた。
花江の話だと『超』がつくぐらいラブラブな八代と宍戸。似合わないぐらい激しめの痴話喧嘩だ。
つき合っていればケンカもする。ゲイカップルだけに起こる事ではない。ケンカするほど仲が良いともいう。
なかなか止まないケンカに気が散ってしまった門倉は、直ぐ寝られるようにと準備しておいた布団に寝転び目を閉じた。
すると
『バカッ!』という怒鳴り声と共に荒々しくドアの開閉する音が響き、ドスドスと怒りまみれの足音が一階へと消えていった。
たぶん、宍戸が出て行ったのだろう。
門倉は身体を起こし、胡座を組むと一息ついた。
一人で考える時間が持てれば、冷静になりいろいろと見えてくる事もあるだろう。そうすれば、仲直りだって早い。
などと、他人事ながら勝手な一件落着を決めて再び机に向かおうとした時だった。
コンコンコンコンコンコンコンコン…ッ!
長ーーーーいノック音。
門倉のこめかみがピクッと動いた。
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