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俺の隣にいればいい
第2章 隣人、侵入。

夜に訪れる客は式部以外いないのだが、こんな非常識なノックをする奴ではない。
不機嫌になった門倉はドアの前まで行き
様子を伺った。
ココン コン ココンッ!
またふざけたノック音が響く。
「門倉さん、いるんでしょ?開けて」
声の主は隣人の八代だ。
門倉は驚いた勢いで、ドアを開けてしまった。
「や、八代君….…キミ、今…」
「一人なんだ、入れてよ 。わー、本だらけ」
家主の了解も得ず部屋の中へと入り、珍しそうにキョロキョロと見回している。
さっきまでケンカして、恋人が出ていったというのに…八代の態度が解せない門倉は不信感丸出しで彼を睨んでいた。
「おいっ、なに勝手に入ってるんだよ!今、ここに来ている場合か?!」
普通なら、出ていった宍戸を追いかけるか、部屋で待っていたりするものだろう。
八代はそんな様子を微塵も見せないでいる。
「あー、やっぱり聞こえてたよね、っていうか聞かせてたんだけど」
「……は?」
ポカンと八代を見る門倉は八代の言っている事が理解出来ず考え込む。今、言ったことはいったいどういう……
ぐるぐる回る思考。
疑問符ばかり浮かぶ八代の行動が分からない。
ならば、本人に聞けばいいと疑問符の渦から戻って来てみれば、門倉は八代に抱きしめられていた。
「やっぱり、見た目通り細い腰だな……抱いたら折れそうだ」
門倉より頭一つ分大きい八代は、抱きしめた門倉の頭部に顔を埋め、すんすんと臭いを嗅いでいる。
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