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私は犬
第12章 歓迎会
「もう少しだから頑張って歩いて。はい、ここ座って。これ、荷物とコート。念のためちゃんと鍵閉めてね。」

「はい……。」

トントン。「危ないからちゃんと鍵閉めてってば!」

「は…い……。」ガチャ…。閉めたわ。これで……大丈…夫…………。





ドンドンドン。お客さーん。大丈夫ですかー。ドンドンドンドン

煩い…。
とても煩いわ…。

ドンドンドンドンドン。お客さーん。

目を覚ますと少し頭がぐらぐらして。辺りを見回すと、鞄を膝に抱いてトイレの個室に腰掛けていた。

ドンドンドン。お客さーん。

「すみません。今出ますっ!」

慌てて飛び起きると、コートが床に落ちた。うわぁ…。よりによって…。でも構っている場合ではないわ。

床のコートを拾い上げ、長時間占領していたらしい個室を飛び出した。

「大丈夫ですか?えーと。お会計お願いします。」


何度も謝罪を述べて、代金を支払い店の外へ出たとたん、頭がぐるぐる回転し始めた…。少し気持ち悪い気がしなくもない…。


はぁぁ…。駄目だわ。少し休んでからタクシーに乗ろう…。

店の前からヨタヨタと、どこかの陰に移動して座り込んだ…。


頭が痛い……。
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