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私は犬
第13章 大失態
そう言って差し出すと、一旦は受け取ってくれたものの、
「この菓子は職場のみんなで食べても構わないか?」
「はい。もちろんです。」
「ありがとう。では、こちらだけ頂いておく。これは受け取れないから持って帰りなさい。」
と《お仕立て券》は返されてしまった…。
こういう時、どうすればいいのか全く分からない。立ち尽くす訳にもいかなくて、「失礼致しました。」と一礼して、踵を返そうとした時、
「具合、大丈夫だった?」
と。ポソリと呟くような声が聞こえた…。
「だ、だ大丈夫ですっ。おっ、お気遣い有り難うごっございますっ。失礼します。」
駄目だわ。心臓が口から出てきちゃう…。逃げなくちゃ…。とりあえず、そうよ。あそこ。いつもの個室っ!
平静を装い、慎重に歩いて個室へ逃げ込むと、急に全身の力が抜けた。抜けきった…。私、多分、このままタコになれる気がするわ…。イカやクラゲでもいいけれど。
少しここで鼓動を調整しよう…。でなければまともな二足歩行は困難すぎる…。
本当は優しい人なのかもしれないわ。偽ジェントルだなんて言って申し訳無かったかもしれない。
それから、あんな事など無かったかのように淡々と日々は流れて。そのままゴールデンウィークに突入した。
「この菓子は職場のみんなで食べても構わないか?」
「はい。もちろんです。」
「ありがとう。では、こちらだけ頂いておく。これは受け取れないから持って帰りなさい。」
と《お仕立て券》は返されてしまった…。
こういう時、どうすればいいのか全く分からない。立ち尽くす訳にもいかなくて、「失礼致しました。」と一礼して、踵を返そうとした時、
「具合、大丈夫だった?」
と。ポソリと呟くような声が聞こえた…。
「だ、だ大丈夫ですっ。おっ、お気遣い有り難うごっございますっ。失礼します。」
駄目だわ。心臓が口から出てきちゃう…。逃げなくちゃ…。とりあえず、そうよ。あそこ。いつもの個室っ!
平静を装い、慎重に歩いて個室へ逃げ込むと、急に全身の力が抜けた。抜けきった…。私、多分、このままタコになれる気がするわ…。イカやクラゲでもいいけれど。
少しここで鼓動を調整しよう…。でなければまともな二足歩行は困難すぎる…。
本当は優しい人なのかもしれないわ。偽ジェントルだなんて言って申し訳無かったかもしれない。
それから、あんな事など無かったかのように淡々と日々は流れて。そのままゴールデンウィークに突入した。