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私は犬
第18章 残り49回です*
頭の後ろに彼の手がまわり、くっと顔の向きを変えられると唇がそっと重ねられ、キスって素敵と、そう思った。

音羽さんの大きな背中にしがみつきながら、ゆらゆらと、ただひたすらに、ゆらゆらと。甘く淡い刺激に浸っていた。


このまま、ぐずぐずと骨まで溶かされて。私、イカやクラゲになっても構わないわ…。

・・・・・・・・・・・・・・・

月曜日

「剛ちゃんっ!私を格好よく変身させてっ!」

執務室で、その日のやるべき事、やらなければならない事達をこなしながら、やっと顔を見せてくれた、待ち焦がれた相手にそう伝える。

「あんた……。一体どうしたのよ…。変なテレビでも見たの?まさか…。前頭葉が萎縮したとか??脳ドック予約しようかしら??」

「違うわよ。大人になりたいのっ。」

「日本では20歳過ぎれば大人だから心配しなくても大丈夫よ。あんたも法的には大人よ。安心なさい。」

「………。」

何で日本語通じないのかしら…。私決めたのに。大人になったから大人になるって…。どうせなら、凄い大人になるって。




「……出勤してくる。バイバイ。ごきげんよう。さようなら。またね。」

「「行ってらっしゃい。」」

私は不服なのよ!あなた達のその態度にっ!気付いてよっ!そう睨みながら、思いつく限りの皮肉を2人へ向かってたくさん投げ付けてやったのに。笑顔で送り出されるなんて……。あの2人は手強いわ…。
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