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私は犬
第6章 お仕事です
だから、なるべくなら言いたくない。それに、イギリスの大学名を答えるべき?それとも日本?あら、私、そういえば、日本の大学の学位、頂いたのかしら?

そんな風に悩んでいると、

「へぇ〜。恥ずかしくて人に言えないような大学出たんだ。」

あら。何だか嬉しそう。いつの間にご機嫌直ったの?というより、迷っているうちに勝手に誤解されているみたい…。


今ならご機嫌も良さそうだし聞いてみようかしら?

「渡辺さん。差し支えなければ私の化粧のどこがいけないか、教えて頂けませんか?」

そう言ったとたん、渡辺さんの眉根が下がり、目つきが鋭さを増した。

「教えて頂ければ直します」

と言うと、急に怒ったように机をバンバンと2回叩いて

「グロスよグロスっ。テカテカしてて気持ち悪いっ。今すぐ何とかしなさいっっ!」と言って、机を大きくバーンと叩いた

「それにその爪っ!あなた会社に何しに来てるのっっ!会社は仕事をする所っ!そんな物必要無いでしょ!っっっ!」

と言って、また机をバーンと叩いた。

音に釣られて渡辺さんの手を見てしまう。あれ?渡辺さん爪に色がついてる。ヌードピンク…。クリアは駄目でその色はいいのかしら??


「ネイル…。その色はいいんですか?」あ!口が勝手に動いちゃったわ…。どうしましょう。

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