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私は犬
第29章 諦めろ*
てくてく歩いていると神社の鳥居が見えてきた。参道を歩いて、赤い鳥居を幾つかくぐる。ビルばっかり建っている都会の真ん中に、こんな場所があるなんて、ちょっと凄いと思う。
本殿の前に着くと、有史さんは賽銭箱にポケットの中の小銭をじゃらじゃら入れてから、パンパンって手を叩いて合わせ出した。
「お前、お詣りしないの?ここに詣ると頭が良くなんだぞ。」
「私、一応カトリックなの。だから参拝したら、ここの神様が怒るかもしれない…。」
「アホかっ。日本の神様は、そんな小せえ事で怒ったりしないから拝んどけ。」
そう言って、100円玉をくれた。賽銭箱に入れて、パンパンって手を叩いて、この、隣に立っている寂しい人が、心の底から笑える日が来ますように。と祈った。
帰り道、来る途中にあった割烹屋さんに入った。看板には梅屋って書いてある。
何とも言えないノスタルジックな空間だわ。頭の中で思い描いてた通りの、日本の普通のお店って感じ。
「俺、外回りない日は昼食いに、たまにここに来る。あの辺食う所無えだろ?社食はうぜぇし。」
そうなんだ…。確かに食べる場所は少ない。あっても行列してる。だから社員食堂があって助かるんだけど、うざぃ気持ちも何となく分かる。
本殿の前に着くと、有史さんは賽銭箱にポケットの中の小銭をじゃらじゃら入れてから、パンパンって手を叩いて合わせ出した。
「お前、お詣りしないの?ここに詣ると頭が良くなんだぞ。」
「私、一応カトリックなの。だから参拝したら、ここの神様が怒るかもしれない…。」
「アホかっ。日本の神様は、そんな小せえ事で怒ったりしないから拝んどけ。」
そう言って、100円玉をくれた。賽銭箱に入れて、パンパンって手を叩いて、この、隣に立っている寂しい人が、心の底から笑える日が来ますように。と祈った。
帰り道、来る途中にあった割烹屋さんに入った。看板には梅屋って書いてある。
何とも言えないノスタルジックな空間だわ。頭の中で思い描いてた通りの、日本の普通のお店って感じ。
「俺、外回りない日は昼食いに、たまにここに来る。あの辺食う所無えだろ?社食はうぜぇし。」
そうなんだ…。確かに食べる場所は少ない。あっても行列してる。だから社員食堂があって助かるんだけど、うざぃ気持ちも何となく分かる。