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私は犬
第32章 我慢の限界*
ジュネーブ空港で、春木さんと剛ちゃんと3人で機上の人となる。

あれ?春木さんも?何で3人?

「ブリュッセルでトランジットタイムが大分御座いますので…。」

目をパチクリしていたら、春木さんがそう言った。隣で剛ちゃんがニヤリと笑った…。のは気のせい?

飛行機で、隣国まで80分。まったりしている暇も無く、座ったやれやれ。と思ったら立って降りなきゃいけない。

ブリュッセルに着いて街中の、ブリジット・バルドーが常宿にしていた事で有名なホテルにチェックインした。アールデコ調の内装がフランスっぽい。確か、ここは、フランス料理も美味しかった気がする。

春木さんが居ると、何でもして貰えて便利。剛ちゃんじゃ、こうはいかない…。おまけに空港からタクシーで30分。街が近いって便利で素敵。

でも、私の荷物…。歯ブラシと空気枕とヘッドフォンと耳栓…。後は、除菌シート、ハンカチ、手帳にお財布、スマホにパスポート。会社へのお土産は、剛ちゃんの大きなスーツケースに入れさせて貰った。着替えも持たずに、これで泊まるの?

「さすが春るんね。ちゃんとスィートだわ。」

剛ちゃんはご機嫌でそう言うけれど。一応スィートだけど、このホテルの一番いいお部屋はもっと広いわよ。とは言わずにおいてあげた。
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