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私は犬
第9章 お仕事です④

何度か聞いてみた事もあるけれど。「忘れてた」とか「具合が悪い」とか「仕事で時間がない」とか。機嫌が悪いと、「あんた私より暇でしょ」と言われて、引き下がるしか無かった。
何だろう…。最近、渡辺さんの機嫌が気になって仕方ない。声を聞くと心臓がギュっと痛い…。
でも、入社にあたって、泣き言は言わない約束を交わしたし。プライベートは持ち込まない約束もしたし。孝徳さんには相談出来ない。
おば様にも絶対に言えない。寄宿舎時代に少しだけ泣き言を言ったら、涙を流して「ごめんなさい。」と抱き締めて下さった。
あの時と同じように、きっと悲しませてしまうだろうから…。
「九宝さん。ちょっと。」と、また渡辺さんに呼ばれた。今度は何だろう…。
「これ、2課の藤崎さんに渡してきて。大切な書類だから本人に直接渡して。本人に渡せるまで戻ってこなくていいから。」
そう言われてエレベーターを使い2課へ向かう。藤崎さんを尋ねると、会議中だと告げられ、「こちらでお預かりします。」と仰って頂けたのだけれども、「本人に直接渡すよう申し付けられておりますので。」とお断りして総務課に戻った。
渡辺さんに「藤崎さんは会議中で不在でした。」と告げると、「もういいわ。」とギロリと強く見られた。
何だろう…。最近、渡辺さんの機嫌が気になって仕方ない。声を聞くと心臓がギュっと痛い…。
でも、入社にあたって、泣き言は言わない約束を交わしたし。プライベートは持ち込まない約束もしたし。孝徳さんには相談出来ない。
おば様にも絶対に言えない。寄宿舎時代に少しだけ泣き言を言ったら、涙を流して「ごめんなさい。」と抱き締めて下さった。
あの時と同じように、きっと悲しませてしまうだろうから…。
「九宝さん。ちょっと。」と、また渡辺さんに呼ばれた。今度は何だろう…。
「これ、2課の藤崎さんに渡してきて。大切な書類だから本人に直接渡して。本人に渡せるまで戻ってこなくていいから。」
そう言われてエレベーターを使い2課へ向かう。藤崎さんを尋ねると、会議中だと告げられ、「こちらでお預かりします。」と仰って頂けたのだけれども、「本人に直接渡すよう申し付けられておりますので。」とお断りして総務課に戻った。
渡辺さんに「藤崎さんは会議中で不在でした。」と告げると、「もういいわ。」とギロリと強く見られた。

