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私は犬
第9章 お仕事です④
はい?脱がすって何を??

「急に言われても困ります。今週は既に予定が詰まっております。」

「1日くらい何とかなるっしょ?」

「なりません。」

「へぇー。噂通り忙しいんだね。」

「何の噂ですか?」

「またまた〜。惚けちゃって。そうやって焦らすのも…。」

あ、また人のお弁当、また勝手に食べてるっ。

「返してください。あなたに差し上げる物は何もございません。」

「はい。」

「食べかけじゃなくて、そちらを返してっ!」

「これ、刻んで入ってんの胡瓜の丸ちゃん?」

「存じませんっ!」

駄目だ。ぜんぜん日本語通じない…。

「はぁ〜」

「どうしたの?ため息なんかついて。悩み事なら、俺聞いちゃうよ。なんなら今夜一晩、ずっと聞いてあげちゃう。」

「………。」

もう。嫌だ。お弁当は諦めて帰ろう。アルミホイルと紙容器だから回収しなくても大丈夫だもの。

「それ、差し上げます。失礼します。」

と言って立ち上がった瞬間、非常扉がギィーっと開く音がして、カツカツと足音が響き、階下から若い女性がキョロキョロと首を降りながら、姿を現すのが見えた。

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