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私は犬
第9章 お仕事です④
「だーかーら。それが甘いんだよ。いいか、処女とやって、泣きながら「責任とって結婚して。」

なんて言われたらどうすんだよ。嫌だって言っても親連れて乗り込まれたら詰むぞ。」

ああ。思い出したわ。この声は鈴木さん。あの身長なんセンチ?男だわ。

「あぁ…。そういゃ、去年、その手でハメられた奴いたな。あれは可哀想だった。」

「だろ?あのデブス。最悪だろ?小林にさ、酒で人生詰んだ…。助けろ。って泣かれて切なかったわ。」


……。私、万が一そんな事になったとしても、責任とってなんて、まして結婚しろなんて、絶対に言わないのに……。

これ以上、何も聞きたくなくて。その場からそっと立ち去った。

それから、化粧室の個室にこもって、1人歯を磨きながらボーッとして。頭の切り替えがうまくいかなくて、重たい気持ちのまま仕事に戻った。





今日は1日が長かった。帰りの更衣室では案の定、渡辺さんに捕まり、注意を受けた。


「渡すまで帰って来んなって言ったのに、日本語もわかんないのっ!どんだけバカなのっ!。」

から始まって

「男漁りに会社に来てんじゃないんだから。」とか、

「あんたが歩くヒールの音がうるさくて仕事にならない。」とか、

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