この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私は犬
第11章 【第2章】リスタート

あの人の事は何度も見掛けた。初めて見たのは入居した月、このマンションのエントランス。
外は雨で、外出しようとホールを歩いていると、男性がコートを腕にかけながら入って来て。
コートについた雨滴が、周囲を濡らさないように配慮したであろう、その行為がとてもジェントルだと思った。
コートからマンションのカードキーが滑り落ちて、気づいていない様子だったので、拾って呼び止めた。
濡れていたそれをハンカチで拭き、「これ、落としましたよ。」と声を掛けると「有り難うございます。」と両手で受け取って下さって。
その所作を見て、やっぱりジェントルだと思った。大きな白いマスクをされていたので、お風邪を召されていたのだろう。「お大事に。」と声を掛けて、その場を後にした。
2回目の出会いは、エレベーターを待っていたら、中からあの人が降りてきた。
昇降ボタンを押しながら待っていると、「有り難う」と仰って下さった。
エレベーター内には彼の残り香が漂っていて、とてもドキドキした。
3回目は早朝。たまには身体を動かそうと、外に出た。
少しタイトな白いパーカーのウェアに身を包みながら深呼吸したら、外気の清々しさがとても気持ち良く身体の中を通り抜けて。
iPodから流れてくる音楽に合わせて、思わず身体が勝手に動いてしまって。
外は雨で、外出しようとホールを歩いていると、男性がコートを腕にかけながら入って来て。
コートについた雨滴が、周囲を濡らさないように配慮したであろう、その行為がとてもジェントルだと思った。
コートからマンションのカードキーが滑り落ちて、気づいていない様子だったので、拾って呼び止めた。
濡れていたそれをハンカチで拭き、「これ、落としましたよ。」と声を掛けると「有り難うございます。」と両手で受け取って下さって。
その所作を見て、やっぱりジェントルだと思った。大きな白いマスクをされていたので、お風邪を召されていたのだろう。「お大事に。」と声を掛けて、その場を後にした。
2回目の出会いは、エレベーターを待っていたら、中からあの人が降りてきた。
昇降ボタンを押しながら待っていると、「有り難う」と仰って下さった。
エレベーター内には彼の残り香が漂っていて、とてもドキドキした。
3回目は早朝。たまには身体を動かそうと、外に出た。
少しタイトな白いパーカーのウェアに身を包みながら深呼吸したら、外気の清々しさがとても気持ち良く身体の中を通り抜けて。
iPodから流れてくる音楽に合わせて、思わず身体が勝手に動いてしまって。

