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人魚姫の唄声
第1章 人魚姫。
 私は婦人警官に毛布を掛けられ抱きしめられていた。

 ガタガタと身体が震えが止まらず、過呼吸気味に肩で息をしていた。
 男は警察官に取り押さえらる時、持っていたサバイバルナイフを自らの喉に切りつけ失血死した。
 私がクローゼットの中でケータイを通話状態にしていて、男の会話や周囲の通報で駆けつけることができたらしい。

 男は栞の勤務先の医師だった。
 横恋慕をしていて、ストーカーになっていたらしい。当日、栞は急な夜勤を交代していた為に被害に遭わずに済んだ。

 私は失声症になり言葉を失った。
 
 栞は私と殺された父と母の償いの日々を送っていた。
  
 そんな中、拓海に出会ったらしい。

 いいご身分だこと。
 結婚して経済的に楽になりたいのかな?
 私の大学の費用もこの晴れ着も全部栞が出している。それが一番の償いだと思っている。
 可哀想な栞。

 でも、私はあなたを許さない。

 

 拓海が立ち上がり、リビングに戻る。
 栞が日本茶と菓子を用意する。

「碧ちゃん。当分の間、このマンションで一緒に生活しようと思うの。私の勤務先の病院も拓海の会社もここから近いし。」

 …毎日、私はあなた達の結婚生活を見てなきゃいけないわけ?
 ヤりまくってる新婚夫婦と食卓になんか着きたくない。いつまで子供扱いなんだろう。

 あの事件のあった家は二束三文で売り、父と母の保険金でマンションを買った。部屋は三部屋にリビング。狭くは無いけど、栞の旦那とは言え男性と住むことを考えると気分が悪い。

 やはり、トラウマか男性と付き合う事が出来なくなっていた。

 大学ではそれなりに友達やサークルには男友達はいるものの、二人きりで部屋にはいられないし距離が近いと動悸が激しくなる。
 でも、言葉が出ない女はみんな興味はないようでそういう関係にはならない。

 あ、でも今気がついた事があった。

 和室に自然と拓海と入れた。
 二人きりで…。
 よく思い返せば、最初に握手もできた。

 手の感触を思い出す。指の長さ。温かさ。私の手を包み込んでしまうほどの大きな手。

 あの手で抱きしめられたら、どんなに温かいだろうか。
 あの手で頭を撫でられ、髪を梳かれたらどれだけ気持ちよいだろうか。

 拓海は姉の婚約者…。

 決して手には入らないのに心が燻りはじめる。

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