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人魚姫の唄声
第1章 人魚姫。
 二人の間で勝手に決定していた同居を了承し、籍だけ先に入れ三人の生活が始まった。

 栞は看護師を続けていて、週の何日かは夜勤があり必然的に拓海と二人だけの時がある。

「碧ちゃん、晩御飯今日は俺が作るよ。」

 拓海は一人暮らしが長かったから以外と料理は上手だった。
 今日はハンバーグにマカロニサラダ。ワカメのスープ。一応、三人分を作り栞のを取り分ける。
 ハンバーグはチーズが入っていて、なかなか凝っていた。

「どう?美味しいかい?」

 私は頷いて微笑む。

「誰かに料理を作って食べてもらうのって、なんだか嬉しいね。」

 拓海はニコニコしながら、缶ビールを飲む。
 そんな顔の時は若く見える。確か、35歳だったよね。私より15歳も年上。それは、栞と一緒に子供扱いするわけよね。

 それなりに大きな商社に勤めていて、そこの課長さん。昨年、職場で同僚が倒れ搬入先の病院で栞と出会ったらしい。

 少しだけ猫っ毛で、優しい目元。
 結構、会社でもモテるんだろうな。

「碧ちゃんは誰かに、彼氏とかに料理は作らないの?」

『彼氏はいないし、料理は苦手。』

 拓海は手話が出来るから、私は筆談より手話で会話をする。
 失声症の原因までは聞いていないのかな。
 まぁ、私から話すなんて出来ないけど…。

 拓海は缶ビールを飲み干し、新しく冷蔵庫から取り出す。

「もうすぐ、二十歳だね。そしたら一緒に飲めるね。」

 明日は私の誕生日。
 紅葉が終わり、寒い冬の入り口。

「何か欲しいものは?」

『プレゼント、くれるの?』

「うん。何か欲しいものがあれば。」

 色々考えるが、今欲しいものが出てこない。
 
『明日までに、考える。』

 拓海はキッチンの換気扇の下に行き、煙草を吸う。
 その仕草も大学の先輩や友人たちとは違う。吸い慣れた大人の仕草。
 そこに私の胸が高鳴る。
 この感情は何だろう…。

「明日、夜一緒に外食しようか?」

『姉さんは?』

「昼間、メールがあって明日の夜は用事があるから碧ちゃんと二人で外食でもして、誕生日祝ってあげて…だって。」

 また、子供扱い。
 お子様ランチでも頼めば満足なのかな?

「授業終わったら、連絡頂戴。金曜日だけど頑張って仕事終わらすから。そしたら、そうだな。美味しい、お子様ランチ食べようか?」

 





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