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陽炎ーカゲロウー
第2章 初夜
市九郎の唇が、赤猫のそれを塞ぐ、

温かいがヌメヌメとした感触が、気持ち悪い。

早く終われ。

そう思いながら耐えた。


拒むでも応えるでもない赤猫に、市九郎は一瞬白けたような一瞥をくれる。



唇が離れた、と思ったら次は、腕を頭の上で抑えられ、動きを封じられる。そのまま、強く胸を掴まれた。


痛い。


眉間にしわを寄せ、また早く終わることを願った。


市九郎はまた興醒めした様子で胸をまさぐるのをやめる。

次は市九郎の手が、腰巻の中に入ってきた。


ーそこは‼︎

咄嗟に脚を閉じると、手を挟まれた市九郎はさすがに驚いた様子で、


「馬鹿野郎、脚ィ閉じるヤツがあるか‼︎」

と吐き捨て、はぁっと溜息を吐く。




「お前、真逆生娘か…?」


とげんなりした様子で呟いた。



どうしたものかわからず、赤猫はただ、こくりと頷いた。

市九郎は更に深い溜息を吐くと、赤猫の上から下り、ごろりと横に転がった。
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