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陽炎ーカゲロウー
第5章 欲
抱き抱えた身体を夜具の上に下ろし、
そのまま組み敷かれる。
同時に耳元に口唇が押し当てられ、すぐに首筋、鎖骨、胸元へと滑って行く。
「あッ…」
この二月で、変わったのは、外見だけではなかった。
市九郎を受け入れるのに、もう痛みはない。
抱かれるのを、待つようにすらなった。
快感だけが身体を支配する。
市九郎の悦ぶ動きも、体勢も、声も。
赤猫は身体に叩き込んでいた。
市九郎は全て終えると、満足そうに横に転がり、赤猫の頭を抱き寄せた。
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