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陽炎ーカゲロウー
第7章 八尋
翌朝、頭領は出かける前のように戻っていて、同じように、粥と魚を用意してくれました。

「いやぁ、すまねぇなぁ、足滑らして川に落ちちまってよ、ったくザマァねえよなぁ。お前がいなきゃ凍え死ぬとこだったぜ」

頭領はそう言って笑っていて、結局血の臭いのことは聞けずじまいでした。

それから、一月ほどは、その小屋で過ごしました。そして、雪の降りそうな、本格的な冬を迎え、私達はアジトを移したのです。

頭領は、幾つか拠点となる小屋を持っていて、季節などで使い分けていました。なぜ、冬になっても、夏用の小屋にいたのか、それはその時の私にはわかりませんでした。

冬のアジトに向かう途中、かつて暮らした商家のある町を通りました。
そこで、人の噂から、あの商家の主が死んだことを知りました。
なんでも、夜盗に殺されたそうで。それはそれは酷い殺され方をしたのだと。役人が躍起になって下手人を探しているが、まだ捕まっていないことなどを聞きました。

その時初めて、もしや、と思いました。




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