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陽炎ーカゲロウー
第7章 八尋
新しいアジトについてから、頭領に
「あの主を殺したのは、あなたですか?」
と聞きました。頭領は
「さぁな。俺は、お前が受けた苦痛をあの狸ジジィに味あわせてやっただけさ。」
顔色ひとつ変えずにいいました。
それまで、私の側に立ってくれる人など、一人として居ませんでした。
だから。
頭領にそう言われて初めて。
自分が苦痛を感じていると。
自分に苦痛を感じる心があると。
自分は人間なのだと。
知りました。
何の関係もない、ただ、通りすがりに拾った私の為に。
危険を冒して人を殺し、返り血を、冬の川で洗い流して凍えかけ、足を滑らして川に落ちたなどと下手な嘘をついて。
こんな人がこの世にいるのだと。
神も仏もないと、全て諦めていた私に、人として生きる道を与えてくれました。
私はその時に決めました。
私の、残りの命は、この方に捧げようと。この方の恩に、少しでも報いることができるように、と。
「あの主を殺したのは、あなたですか?」
と聞きました。頭領は
「さぁな。俺は、お前が受けた苦痛をあの狸ジジィに味あわせてやっただけさ。」
顔色ひとつ変えずにいいました。
それまで、私の側に立ってくれる人など、一人として居ませんでした。
だから。
頭領にそう言われて初めて。
自分が苦痛を感じていると。
自分に苦痛を感じる心があると。
自分は人間なのだと。
知りました。
何の関係もない、ただ、通りすがりに拾った私の為に。
危険を冒して人を殺し、返り血を、冬の川で洗い流して凍えかけ、足を滑らして川に落ちたなどと下手な嘘をついて。
こんな人がこの世にいるのだと。
神も仏もないと、全て諦めていた私に、人として生きる道を与えてくれました。
私はその時に決めました。
私の、残りの命は、この方に捧げようと。この方の恩に、少しでも報いることができるように、と。